実は「組織」の話になりますが、これは家族の話でも同じなので少ししますね。
「組織」と言うと何人もいるように思いますが、2人以上いたら組織なので、夫婦であっても組織になります。
組織は活性化させるには3つの要素が必要だと言われています。チェスター・バーナードが提唱したものです。
それは
「共通目標」「貢献欲」「コミュニケーション」
です。その1つ1つについて話をしていきましょう。
1.共通目標
これは家族が同じ目標を持っているとすごく強いです。たとえば
「新しい家を建てる」
となったらどうでしょうか?今まで小さな家で友達も呼べなかったし、兄弟で同じ部屋だったので自分の部屋もない。
そんな風に思っていたときに、お父さんとお母さんが
「新しい家を建てようと思う。それで、頭金がもう少しでたまるのでお母さんも仕事に出て働く。だから、家のことをことを手伝ってね」
と言うと子どもも協力してくれます。また、あなたが行って欲しい学校と子どもが行きたい学校が同じだと、すごく力が出ます。
2.貢献意欲
ここに1つのポイントがあります。以前に「正論では人は動かない」ということを書きました。
正論だけを押してくる親の家庭ではこれがなくなってしまうのです。これは子どもでも同じです。
私が指導したところの生徒ではいわゆる「不良」と言われている子も何人も指導してきました。
学校でも問題児扱いされている生徒です。ですが、その中ですごくがんばる子がいました。
テスト前になると異常に集中するのです。今までいじっていたスマホは親に自分から預けて必死になって勉強して話もしない。
普段はグダグダしているのにこのときばかりはすごく集中するわけです。それで一度聞いてみたわけです。
「何でそんなに一生懸命に勉強するの?」
とすると意外な言葉が返ってきました。
「お父さんに悪いから」
「何でお父さんに悪いの?」
「だってお父さん、毎日仕事が終わったら私のために数学の問題を作ってくれているから」
と。その子のためにお父さんが毎日問題を手書きで作って出してくれているそうです。
「そのお父さんに応えよう」と思って必死に勉強するのだそうです。これは父親に対する貢献欲です。
また塾でもあります。以前に卒業生と2人でご飯を食べに行った話をしました。そのときに言っていたのが
「先生と一緒に勉強したときほど勉強したことがない」
と。そして、志望校に合格しましたがそのときも同じようなことを聞きました。
「何でそんなに勉強したの?」
と聞くと、
「先生にあれだけしてもらったので落ちてしまったら、先生にすごく悪いと思ったからがんばった」
と。これが貢献意欲なのです。
「お父さんが好き」「お母さんが好き」
とか。別の言い方にすると
「お父さんのために」「お母さんのために」
でしょうか?
逆に正論だけでは貢献欲がわきません。たとえば、正論で進めて来る人には「理」で返します。
「理」とは「利」につながります。自分の今の生活に得か損かになります。
子どもが結婚してパートナーを持ったら今度は親のところに寄り付かなくなります。逆に親を敬遠するかも知れません。
「仕事で忙しい」
ということでお正月も帰ってこないかも知れません。
親は「子どものために」とやっていたことが実は子どもからすると
「自分のことを理解してくれない親」
なのかも知れません。
3.コミュニケーション
実は私もこれが苦手です。そんな話をすると
「えっ、そうなんですか?」
と言われますが、苦手です。というのも
「表面的な話しかしない」
からです。たとえば、あなたのお子さんが何も相談してくれないということはないですか?
「何も話をしてくれない」
というのは、子どもが
「話をしてもムダ」
と思っているのかも知れません。実際に子どもと話をしていてよく聞くのが
「親に言ってもムダ」
という言葉です。実は相談しても親の言うとこはわかっているから言ってもムダと思っているようです。
実際に子どもは
「できるできない」
は別にして理解されたいと思っています。あなたはそんなことはないですか?
「大変なことを主人にはわかって欲しい」
「仕事が大変なことを家内にわかって欲しい」
「仕事が大変なことを上司に理解して欲しい」
「お母さんも大変なことをわかって欲しい」
そんな気持ちがあるはずです。実はみんな同じです。
病院で働く看護師も医師も
「大変なことをわかって欲しい」
と思っているのです。コミュニケーションの第1歩は
「理解すること」
です。それが第1歩です。