最近の傾向として、いえ昔からそうかもしれませんが、「努力する奴」は「努力しない奴」にはかなわないという話を聞きます。
この話を聞くと通常は「逆じゃないの?」と思うかも知れません。「努力する奴」が勝って「努力しない奴」が負ける。それが普通だな思うでしょう。
ですが、これで合っています。それはなぜなら「努力をしている」ということは「自分自身に対して強制が働いている」わけです。
嫌な部分があって、努力をしているということなのです。
一方、「努力をしない」ということは好きでやっているので、やっている本人は夢中でやっているから努力しているとすら思わない。
塾長のあなたもこんなことはないでしょうか?たとえば、自分自身で自塾のサイトを作っていた。
すると知らないうちに朝までなってしまった。「しまった」そんな感じです。
そのときは決して「努力をしている」とはいえません。楽しくて。夢中でやっていたら、気づいたら朝になっていたわけですから。
また、気の合う人と一緒に仕事の話をしていた。時計を見ると夜中の2時。これは決して「努力をしている」わけではなく、やってしまった夢中の6時間であるわけです。
夢中でやっている6時間は、イヤイヤやっている6時間ではかなわないのです。
以前、こんな生徒がいました。家庭教師の派遣の会社から私に指導を頼まれるように来たのです。
通常、私のところに来る家庭というのは、普通の学生家庭教師や社会人の家庭教師でも手に負えない家庭が来ることが多いです。
派遣会社から知らされた情報では、そこのお母さんはクレームが多くて、家庭教師が何人も辞めていると。
私に頼まれたお母さんからの要望は 「子どもにゲームをやめさせてほしい。そして、勉強をさせてほしい」というものでした。
その子と会っていろいろ話をすると今まで1番長いときは1日13時間もゲームをしたそうです。はっきり言って異常。
もちろん親御さんも色々工夫はしていたそうです。ゲームを隠して取り上げたり、塾に行かせて勉強する時間を増やしたり。
ゲームを取り上げてしまうと今度はいわゆる「不良グループ」と付き合うようになっていました。また、警察ざたの事件に巻き込まれてやむなくゲームを与える。
さらに塾に入れると今度は塾では他の生徒にいじめられて塾に行きたくなくなったという話です。その子は根はいい子でちゃんとやれば伸びる子だと。
その子とはすごく仲良くなって色々と話をしました。一緒にラーメンを食べに行ったり、ゲームを貸してもらったり。
あるときはその子から私に宿題を出されました。「このゲームやりたい?」「あっやりたいね」「だったら最後までクリアしてね」と宿題です。
やりましたよ。朝7時からアルバイトがあるのに朝4時までゲームを。家族が寝ている部屋で、灯りが消された部屋で1人「バイオハザード」という怖いゲームを。
彼とは何度も話をしました。ゲームについて話をするゲームに対する情熱、ゲームに対する分析。
そして、ゲームに対するこだわり。よく彼が話ししてくれたのが「このゲームはだめだ。こんなゲームを作ったら。僕だったらこんなゲームを作る」という話。
その話を延々にするわけです。だから、私はその子に言ったのです。
「そんなに文句をいうんであれば、自分でそんなゲームを作れ」
と。本人が自分がやっていることはじめても認めてもらった瞬間です。
今度はお母さんを説得です。
「お母さん。この子のゲーム好きは普通のゲーム好きではありません。だから、ゲームを辞めさせるのではなく、ゲームを作ると仕事をさせてはどうでしょうか?」
お母さんも目ん玉を開けてびっくりです。「ゲームを辞めさせてください」とお願いした先生から「ゲームを作る仕事に就く」ように話をされたからです。
そこから彼の勉強をスタートしました。もちろん、簡単には行きません。数学は勉強しなくても、偏差値は58ぐらい取っていました。
しかし、英語は28です。全然できません。志望校は電子科と決定。将来の夢はゲームを作ること。その後からは早かった。
私は家庭教師を辞めました。今度塾をスタートすると私の塾に来ることに。彼の勉強法は独特です。
「数学は絶対に教えるな」です。自分自身で公式を導きだして。合っているかどうか確認しに来ます。自分で考えて3時間でも4時間でも1人で取り組む。
英語は嫌い。機器を使って独学です。そうやって志望校に合格して行きました。
高校にフォローに行ったときも、高校の先生からも「まじめにやっています。彼はがんばっていますよ」と。
「ゲームをやめさせください」から「ゲームを作る会社に勤める」と180度の変化で感じた話
これからAIの時代。夢中になれることで勝負しよう。そして、その夢中になれることを見つけて、それを鍛えていくことで社会でもやっていけます。