前回の続きです。
人は二つの欲求によって動かされるということを知っていると非常に役立ちます。
特に失いたくない欲求が強いということが分かると色々なところで判断の参考にすることが出来ます。
例えば、
「あなたは1億円欲しいですか?」
と聞かれたとき、どう答えますか?普通は
「1億円が欲しい」
と答えます。
「どうしても欲しいですか?」
と言うと
「どうしても欲しい?」
と答えます。
「それではあなたの腕の一本を切り落とすので、その代償として1億円をあげます」
と言ったらどうでしょうか?そうすると
「それなら結構です」
となるのです。つまり、1億円よりも自分自身の腕の方が大切なのです。
「1億円欲しい」
と言って人でさえ、自分の腕を失いたくない。
それだけ人は「失いたくないと言う」気持ちが強いのです
この真理を知っていると色々なことで判断を狂わせることは減ります。
実際に賭け事で失敗するのはこの心理を知らないからです。
賭け事をやっているとついついのめり込んでしまいます。勝っている分にはいいのですが負け始めるとどうなるのか?
「今まで負けた分を取り戻さなければ」
と思ってしまうのです。そして、
「今度こそ。今度こそは取り戻そう」
とさらにのめり込んでいくのです。そして、借金をしてまでのめり込んでしまう。
冷静に考えて、「ここは損してもいいから辞める」と決めればいいのですが、それが出来ないのです。
株投資の言葉の中に「見切り千両 」というのがあります。
言葉の意味は、損している状態にある株式は、反転を期待して持ち続けるのでなく、手放してしまうべきだという教訓
です。
それは、その方が損が少なくてすむからです。今辞めれば、損は100万円だければ、続けて失敗すれば300万円になってしまう。そんな意味なのです。
そうやって「失いたくない気持ち」を抑え冷静に判断すれば、損が少なくなるのです。
これは経営するときもそうです。塾をオープンしているとどうしてもうまくいかないときがあります。
それは立地のためかも知ません。そうすると立地が良くないのに逆転することは不可能です。
ですが、塾経営を長くすればするほど「失いたくない」ということで撤退する勇気がなくなります。それでさらに損害を大きくします。
これは、私がオフラインで塾を経営していたときに受けたアドバイスです。別の塾の経営者で何年もやっていた人から、こんなアドバイスを受けました。
「うまくいかないから塾をもう閉めたら?確かに塾を閉めてるのは嫌かもいれないけれど、早く辞めた方が損が少なくてすむよ。
僕が以前に別の人から受けたアドバイスは【逃げ足は速く】だよ。ダメだったら塾を閉めるか他に移転した方がいいよ」
私はこのアドバイスから1年以上かかって、塾を閉めましたが、今から考えるとあと撤退する期日を決めて取り組んだのが良かったのかと思います。
「失いたくない」という心理を把握しておくと判断が変わります。